エール



私はブランコをこぐ気になれなくて座ったまま、足で土を蹴っていた。




音を立てて男の子がブランコを止めた。



「馬鹿じゃないの?」


そんな事を口にした男の子に目を見開いた。


「物壊しただけで嫌う親が、走りながら来るかよ…
子供は親に甘えたり迷惑かけて育つんだろ?」




ボーッとした顔で男の子が見る先には、

走って公園に入ってきた女の人。



「お母さん!」



私はお母さんの姿を見た瞬間に、お母さんのところまで走って行く。




「もう!勝手に家出て!お父さんと二人で心配したんだからね!良かった…見つかって…」


ギュッと私を抱きしめたお母さんに、私も抱き着く。




「一人で居たの?」


お母さんに聞かれて、私は首を振る。


「ううん、男の子と一緒だっ…」


ブランコを指差すが、そこに男の子は居なかった。



 
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