双子月
朋香の髪は肩に付くか付かないか位だ。

栗毛色だが、それは地毛。


今日は見事にはねている。

30分格闘した末、ようやくいつもの感じに落ち着いた。


朝8時。

結局あの後眠れなかったので、光弘が来る前に部屋を片付け、気合いを入れて昼食を作る事にした。


まぁ片付けるといっても、AB型のAが強い朋香の部屋は、比較的綺麗に片付いている。


「洗濯…くらいかな。
後は掃除機でもかけるか。」


そう思ったのだが、洗濯物がない。


(………??)


タンスを開けてみると、昨日着た洋服が綺麗に畳まれて、ちょこんと並べられている。


実はこういう事はよくある。

睡眠薬と気分安定剤を服用しているせいか、朋香の記憶は時々曖昧だ。

タンスの中に昨日着た洋服が入っているのだから、昨夜洗濯した…のだろう。

大して困るような事でもなく、むしろラッキーだと思い、朋香は気にしない事にして引き出しを閉めた。


まずは簡単に朝食をとる事にし、キッチンに向かう。


「昼は…光弘の好きなホットケーキにしよっかな♪」


そういう訳で、必然的に朝は、ご飯と味噌汁に決まった。


何故か疲れが残っているものの、昨夜は夢も見なかったし、今日は気分良く1日を過ごせそうで朋香の顔は自然と綻んでいた。


< 10 / 287 >

この作品をシェア

pagetop