双子月
4…舞うは火の粉と桜の花びら
瑠璃子は抱き合っていた雄一から1歩離れた。
何かを言おうとしても、何も言葉が浮かんでこない。
真朝だって社会人の剛と付き合っているのだから、隠しててごめんと笑って言えば済むだろう。
一瞬でそこまで計算したのに、剛の言葉が全てを打ち砕いた。
「雄一…お前…」
剛も雄一も青ざめて、それこそ2人共、声が出ない。
やはり沈黙を破ったのは真朝だった。
「え、剛、この人と知り合いなの?
ってか、今、奥さんと子供って…」
さすがの真朝も、冗談が通る空気ではない事を読んでいた。
「…あ、うん。
同じ会社の同期でさ…
同期と言っても、雄一は優秀だからオレらとは違う部署に配属されて、あまり会社じゃ顔は合わせないんだけど…」
剛も真面目に、言葉を慎重に選びながら答える。
「それで、オレら同期の中でも1番に結婚したんだ…。
去年の6月に…それから子供もこの間生まれたばっかりで…。
相手は1つ下の後輩で、結婚を機に退職したんだよ。」
真朝はカッとなって、雄一に向かって叫んだ。
「貴方!
いくら瑠璃子が人が良いからって、騙して手玉に取るなんて最低!」
剛も真朝同様、
「お前、あんなに幸せそうにしてたじゃないか!
子供が出来た時なんて、定時になったら飛んで帰ってたって聞いたぞ…。
そんなお前が、こんな風に大学生と遊ぶなんて…」
と必死だった。
しかし、それを遮ったのは瑠璃子だった。
「止めて、分かってるわ!
それ以上言わないで!
そして雄一さんを責めないで。
私は…私から誘ったの。
結婚している事も全部知ってて、私から!
雄一さんは悪くない、悪いのは…
雄一さんの本当の幸せを壊しているのは…私なの…」
涙ぐんで両手をぐっと握っている。
「瑠璃子…」
真朝はこんな必死な瑠璃子を初めて見る。
「それでも…それでも、私…
…雄一さんの傍にいたいの…」
そして、こんなにも女性としての激しい一面も、初めて見た。
何かを言おうとしても、何も言葉が浮かんでこない。
真朝だって社会人の剛と付き合っているのだから、隠しててごめんと笑って言えば済むだろう。
一瞬でそこまで計算したのに、剛の言葉が全てを打ち砕いた。
「雄一…お前…」
剛も雄一も青ざめて、それこそ2人共、声が出ない。
やはり沈黙を破ったのは真朝だった。
「え、剛、この人と知り合いなの?
ってか、今、奥さんと子供って…」
さすがの真朝も、冗談が通る空気ではない事を読んでいた。
「…あ、うん。
同じ会社の同期でさ…
同期と言っても、雄一は優秀だからオレらとは違う部署に配属されて、あまり会社じゃ顔は合わせないんだけど…」
剛も真面目に、言葉を慎重に選びながら答える。
「それで、オレら同期の中でも1番に結婚したんだ…。
去年の6月に…それから子供もこの間生まれたばっかりで…。
相手は1つ下の後輩で、結婚を機に退職したんだよ。」
真朝はカッとなって、雄一に向かって叫んだ。
「貴方!
いくら瑠璃子が人が良いからって、騙して手玉に取るなんて最低!」
剛も真朝同様、
「お前、あんなに幸せそうにしてたじゃないか!
子供が出来た時なんて、定時になったら飛んで帰ってたって聞いたぞ…。
そんなお前が、こんな風に大学生と遊ぶなんて…」
と必死だった。
しかし、それを遮ったのは瑠璃子だった。
「止めて、分かってるわ!
それ以上言わないで!
そして雄一さんを責めないで。
私は…私から誘ったの。
結婚している事も全部知ってて、私から!
雄一さんは悪くない、悪いのは…
雄一さんの本当の幸せを壊しているのは…私なの…」
涙ぐんで両手をぐっと握っている。
「瑠璃子…」
真朝はこんな必死な瑠璃子を初めて見る。
「それでも…それでも、私…
…雄一さんの傍にいたいの…」
そして、こんなにも女性としての激しい一面も、初めて見た。