双子月
『まもなく後夜祭が第1グラウンドにて行われます。
皆様、お誘い合わせの上、どうぞご参加下さい。』
オレンジ色の夕日が段々と沈んでいき、講義室の4人の影が細く長くなっていた。
やがて空はオレンジとグレーのせめぎ合いになり、1番星が見え始めた。
それ程の間、4人は沈黙を守ったままだったのだ。
その時、瑠璃子と真朝の携帯が同時に鳴った。
2人が慌てて携帯を開けると、美穂からの同時送信で、
『後夜祭、始まるよ
グラウンド入り口の所で朋香と待っているから』
という内容のモノだった。
「…行こうか…」
真朝がポツリと言った。
「…うん…」
瑠璃子も携帯をしまいながら答えた。
「剛、どうする?」
真朝が聞くと、剛は、
「今日は…もう帰るわ…」
と珍しく疲れ気味で言った。
まぁ、無理もない。
「瑠璃ちゃん、僕も今日はもう帰るね…。
また…連絡するから…」
雄一も乾いた声でそう言った。
4人は黙って講義室を出て、グラウンドの方へと歩き出した。
賑やかさが段々と近付いて来るにつれ、さっきまでの出来事が掻き消されそうになってくる。
実際、消えてくれたらどんなに楽な事だろうか。
しかし、いつまでもこの状況ではいられない。
それは瑠璃子と雄一、当人同士が痛い程、分かっているのだ。
「剛、何で来た?」
「あ、電車とバス…」
「乗っていけよ、送ってく…」
と雄一は剛を誘った。
もちろん、それなりの覚悟をして。
「じゃあ、また…」
瑠璃子と真朝はそう言って2人を見送った。
そして朋香と美穂の待つグラウンドへと無言で急いだ。
皆様、お誘い合わせの上、どうぞご参加下さい。』
オレンジ色の夕日が段々と沈んでいき、講義室の4人の影が細く長くなっていた。
やがて空はオレンジとグレーのせめぎ合いになり、1番星が見え始めた。
それ程の間、4人は沈黙を守ったままだったのだ。
その時、瑠璃子と真朝の携帯が同時に鳴った。
2人が慌てて携帯を開けると、美穂からの同時送信で、
『後夜祭、始まるよ
グラウンド入り口の所で朋香と待っているから』
という内容のモノだった。
「…行こうか…」
真朝がポツリと言った。
「…うん…」
瑠璃子も携帯をしまいながら答えた。
「剛、どうする?」
真朝が聞くと、剛は、
「今日は…もう帰るわ…」
と珍しく疲れ気味で言った。
まぁ、無理もない。
「瑠璃ちゃん、僕も今日はもう帰るね…。
また…連絡するから…」
雄一も乾いた声でそう言った。
4人は黙って講義室を出て、グラウンドの方へと歩き出した。
賑やかさが段々と近付いて来るにつれ、さっきまでの出来事が掻き消されそうになってくる。
実際、消えてくれたらどんなに楽な事だろうか。
しかし、いつまでもこの状況ではいられない。
それは瑠璃子と雄一、当人同士が痛い程、分かっているのだ。
「剛、何で来た?」
「あ、電車とバス…」
「乗っていけよ、送ってく…」
と雄一は剛を誘った。
もちろん、それなりの覚悟をして。
「じゃあ、また…」
瑠璃子と真朝はそう言って2人を見送った。
そして朋香と美穂の待つグラウンドへと無言で急いだ。