双子月
瑠璃子が話をしている間、誰も一言も発しなかった。


全てを話し終えた今、瑠璃子は虚ろな瞳で下を向いている。


昨日の講義室での事は、真朝が所々、詳細を付け加えた。

しかし、瑠璃子と雄一の始まりは真朝も初めて聞く事なので、黙っていた。


「そう、そんな事が…」

美穂がそう言った時、瑠璃子はビクっと身体を震わせた。


「難しい問題ね…」


「え…?」


瑠璃子は一瞬、自分の耳を疑った。

当然のように非難されると思っていた。

そんな関係、辞めてしまえと。


真朝も、昨日は突然の事だったから、深く考えずに雄一に喰って掛かったものの、今日は美穂や朋香と一緒に考え込んでいる。

自分のこの罪深き、だけど同様に海よりも深い、重い想いの事を真剣に悩んでくれている。

そうだ、そういう人達だった。

だから一緒にいるんだ。


瑠璃子は話した内容よりも、自棄になって皆を信じていなかった自分を恥ずかしく想った。




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