双子月
雄一が近付いてきて、瑠璃子を後ろからそっと抱きしめる。



肩に軽くkiss。

首筋に軽くkiss。

髪を撫でながら頬に軽くkiss。

瑠璃子の顔を自分に向かせて唇に軽くkiss。

瑠璃子と向かい合って深くkiss。



雄一は瑠璃子を抱き上げて、天蓋付きのふかふかのベッドにゆっくりと下ろした。


瑠璃子は雄一の肩越しに、

(美穂んちのベッドみたい…)

とボンヤリ思った。


しかし、それ以上はもう何も考えられなかった。



深く深く求めあう2人。

今までの想い出を全て凝縮してぶつけ合うかのように求め合う。

それは熱くて熱くて、決して冷める事のない熱。



何度その熱が互いの身体を行き来したのだろうか。


足りない
足りない
足りない


身体が、心が、そう叫ぶ。

だけど、時が止まる事などないのだ。


瑠璃子はゆっくりと、終焉の時が近付いて来るのを感じ始めていた。



(もう私達は言葉以上に語り合った…
このまま、熱を帯びたまま、この気持ちのままで…)



瑠璃子は夢見心地でまどろんでいた。

雄一はそんな瑠璃子の髪を撫で、抱き寄せてから温もりを確認して目を閉じた。



2人共、どんな夢を見たのか覚えていない。


ただ、顔が見えないけれど、とても愛しいという事だけ覚えている人に包まれているような、産まれたての子供のような、そんな不思議な感覚だったと想う。


(あぁ、きっと、ここから再出発しろという事なのね…)



夢の中で瑠璃子はそう想った。


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