双子月
…何?

雄一さんは何を言っているの?

私達、今日で終わりなんじゃ…?



「瑠璃ちゃん、本当に天秤が釣り合うんだ。
そして本当に世間体は気にしていない。
僕の奥さんにも、ちゃんと君との事を話す。
分かってくれるまで何度でも。
だから瑠璃ちゃん、籍は入れられないけれど、ずっと一緒にいよう。
子供が出来たら、もちろん認知するから、2人で育てよう。
僕だけの自己満足かもしれないけど、昨日ずっとずっと考えて、どうしてもこの結論にしか至らなかったんだ…!」



雄一が瑠璃子を強く抱きしめながら言う。

瑠璃子は息を呑んだ。



甘い棘のある、背徳の味がする。

目眩が襲う。



神様、こんなにも罪深い愛情がこの世に存在する事を知っていますか?

アナタはこの想いさえも罪だと、許されないと仰いますか?

この愛を守り通す為の罰なら喜んで受ける私達は、救いようがないですか?



瑠璃子は雄一に抱きしめられながら、天を仰いだ。

力強く目を瞑って。

祈るような気持ちで。


込み上げてくる熱い想いを涙なんかで流してしまうのはもったいないから、全身全霊で涙を体内に留めた。



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