双子月
ピンポーン
瑠璃子の家は駅から歩いて5分位だ。
大学1年生の時から何度か遊びに来た事がある。
『どちら様ですか?』
と、瑠璃子の母親が出た。
「あ、大学の…有田朋香です…」
そう言うと、すぐにドアを開けてくれた。
「あら、朋香ちゃん、お久しぶり。
せっかく来てくれて悪いんだけど、昨日の昼頃からずっと気分が悪いって言って、部屋から出てこないのよ…」
と溜息を付きながら言った。
朋香は、ゴクリと唾を飲んだ。
「おば様…
瑠璃子は今…
精神的にとても辛い状態に追い込まれているんです…」
「朋香ちゃん、何か知っているの?」
「はい、とりあえず、瑠璃子に会わせて下さい。」
朋香は2階への階段を登り、瑠璃子の部屋のドアをノックした。
「瑠璃子、私、朋香よ。
入るわね…」
そう言ってドアを開けた。
電気は付いていない。
窓だけ開いていて、カーテンが風で揺れている。
覚えのある匂い。
鉄の混じったような、生臭いようなこの匂いを、朋香は無意識のうちに知っている。
ベッドに腰掛けて壁に背中を預け、力なく、だらんと四肢を放り投げている瑠璃子がいた。
朋香は急いで駆け寄った。
「瑠璃子!」
虚ろな目で瑠璃子はゆっくりと視線だけを動かし、朋香を見た。
「朋香…私…」
「イイの、今は何も言わなくても。
ごめんね、ちょっと痛いかもしれないけど我慢して…」
そう言うと、朋香は瑠璃子の母親に、使わないタオルをくださいと言った。
「何に使うの?」
不思議がる母親に、朋香は言い辛そうに切り出した。
「瑠璃子は…今…腕を斬って血が出ているんです。
急いで止血をしたいので…」
瑠璃子の家は駅から歩いて5分位だ。
大学1年生の時から何度か遊びに来た事がある。
『どちら様ですか?』
と、瑠璃子の母親が出た。
「あ、大学の…有田朋香です…」
そう言うと、すぐにドアを開けてくれた。
「あら、朋香ちゃん、お久しぶり。
せっかく来てくれて悪いんだけど、昨日の昼頃からずっと気分が悪いって言って、部屋から出てこないのよ…」
と溜息を付きながら言った。
朋香は、ゴクリと唾を飲んだ。
「おば様…
瑠璃子は今…
精神的にとても辛い状態に追い込まれているんです…」
「朋香ちゃん、何か知っているの?」
「はい、とりあえず、瑠璃子に会わせて下さい。」
朋香は2階への階段を登り、瑠璃子の部屋のドアをノックした。
「瑠璃子、私、朋香よ。
入るわね…」
そう言ってドアを開けた。
電気は付いていない。
窓だけ開いていて、カーテンが風で揺れている。
覚えのある匂い。
鉄の混じったような、生臭いようなこの匂いを、朋香は無意識のうちに知っている。
ベッドに腰掛けて壁に背中を預け、力なく、だらんと四肢を放り投げている瑠璃子がいた。
朋香は急いで駆け寄った。
「瑠璃子!」
虚ろな目で瑠璃子はゆっくりと視線だけを動かし、朋香を見た。
「朋香…私…」
「イイの、今は何も言わなくても。
ごめんね、ちょっと痛いかもしれないけど我慢して…」
そう言うと、朋香は瑠璃子の母親に、使わないタオルをくださいと言った。
「何に使うの?」
不思議がる母親に、朋香は言い辛そうに切り出した。
「瑠璃子は…今…腕を斬って血が出ているんです。
急いで止血をしたいので…」