双子月
木曜の朝。


朋香は目を覚ました。

昨日の服のまま。

バッグもコートも床に放り投げてある。


昨日、瑠璃子の診察が終わって帰宅してから、ベッドにうつ伏せに倒れ込んだまま寝てしまったようだ。


化粧を落としていない顔がパリパリする。

涙が流れた痕が、幾筋もある。



朋香は起き上がって、軽く頭を振った。

クラクラする。

シャワーでも浴びよう。



蛇口を捻って、頭から温いお湯をかぶりながら、朋香はボンヤリしていた。


自分の左手首を改めて見た。

無数の傷。



(コレが瑠璃子を巻き込んだ…?)



ダメだ、私がしっかりしなくちゃ…!


朋香は気をしっかり持って、シャワーを浴び直した。

髪まで洗って浴室を出て、バスタオルで身体を拭いた。



部屋の中は暖房が効いているので、バスタオルを身体に巻き付けて、髪から雫を垂らしたまま、リビングへのドアを開けた。



「ふぅ、サッパリした…」





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