双子月
朋香はベッドに腰掛けている光弘の隣に座った。

そのアルバムには、幸せそうな家族の写真がいっぱい詰まっていた。


「私の本当のパパとママ。
離婚して私はママに引き取られて、新しいお義父さんが実家にいるっていう話はしたよね?」


「あぁ、新しい親父さんとはあまり上手くいってないんだろ?」


「そういうワケではないの。
ただ、私が勝手に息苦しく感じていただけ。
私は特にパパっ子だったから、新しい義父を認めたくなかったのかもしれない。」


朋香は写真の中の本当の父親を、とても懐かしそうに見ている。

そして、もう1冊のアルバムを取り出した。



「コレ…私の唯一の弟…
通っていうの。」


そのアルバムは、通の写真だけでビッシリと埋め尽くされていた。

2人で仲良く写っている写真もたくさんある。



「通はね、父方に引き取られたの。
パパは、溝口TOY・コーポレーションの社長でね…。
通も跡を継ぐって将来が決まっているの。」


「溝口TOY・コーポレーションって…大手じゃないか!」


「うん、でもそんなの関係ないの。
私は家族4人でいられれば、パパがどんなに忙しくても我慢出来た。
ママが慣れない社交界で頑張っているのを応援出来た。
通と手さえ繋いでいれば、ソレだけで幸せだったの。」


さっきの家族アルバムを見ていた懐かしそうな目から、愛しいモノを見るような目へと朋香は変わっていった。


「それで…離婚が原因で病気になったのか?」


「ううん、逆かもしれない。
通と逢う為に高校受験だって頑張れたし、通に逢えるコトが嬉しくて、生きてるコトがとても楽しかった。」



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