双子月
第4章*月達が欠ける刻

1…桜・血・汗・涙

心理学専攻の定員は20名と、意外と少ない。


全体入学式の後、各学部・学科・専攻ごとに分かれて顔合わせがある。

光弘は、同じ高校から一緒に受かった大輔と共にいた。

男女の割合は15対5で、圧倒的に女性が多い。


「げ~、こんな女ばかりの集団で4年もやってけねぇよ~」


と大輔が光弘に耳打ちした。


「まぁ、俺らがあぶれる事はないって訳じゃん?
それに他の学部やサークルでたくさん出逢いがあるって。」


と光弘は、案外クールに返した。


そのうち、自己紹介が始まった。


光弘は名簿に目を通しながら、名前と顔を照らし合わせていた。

人の顔と名前を覚えるのは得意な方だ。


(この中では、松木美穂と中川瑠璃子が上位にランクだな)


と品定めをしたものの、自分好みの顔ではなかった。

こうして、自分も含めて19人の自己紹介は終わった。


(後は入学式しょっぱなから休んでる、出席番号1番の有田朋香だけか)


やっぱりソフトテニスサークルに期待しようと光弘は思った。



ちなみに大輔は、高嶺の花、美穂に入学式3日後に、綺麗さっぱり振られている。

それも今となっては笑い話だけれど。




キャンパス内をうろついていると、いろいろなサークルの勧誘を受ける。


よくよく考えると私服の大学生なんて、パッと見で学年が分かるはずもない。

今日はスーツ姿をターゲットにちらしを配っているが、途中入部者も求めて、とにかく手当たり次第にばら撒いているようだ。


それなのに中には、私ってまだ初々しく見えるのね~なんて言って喜んでいる女性集団もいたりする。



まぁ、光弘はソフトテニスに、大輔はフットサルに入ると最初から決めいていたのだが。

2人共、その日のうちに入会届けを出して、スーツが堅苦しいからという理由ですぐに帰る事にした。



大輔と一緒に生協でアパートを探したので、お互いの家は本当に歩いて1分も離れていない。


けれど光弘はここ数日、喉の調子がおかしかったので、近くの病院に行く事にした。




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