双子月
「私…心療内科に…
誰にも言えなくて…もう疲れて…」


途切れ途切れに朋香が言う。


光弘は、


「…なら俺に言えよ。
疲れたんなら休めよ。
誰も朋香を責めたりなんかしないって、分かってるだろ?」


と優しく言った。



「気持ちが悪くなって…
でも皆に心配かけたくなくて…
皆といる方が気持ちも楽だから…
ワガママなのは分かってるけど、独りじゃいられない…
逢いたいのに…逢えない…」


朋香の支離滅裂な呟きを、光弘は頷きながら聞いていた。



『逢いたいのに逢えない』


恋人に振られたりでもしたのかな、でもそんな噂、クラスでは聞かない。



「私、重たい…
いろんなモノを抱えて…」


光弘はさっきより声を強めにして言った。


「俺には重く感じない。
朋香の抱えているモノがそんなに重たいなら、俺が一緒に持ってやる。
一緒に持ってやる事が出来ないなら、その荷物を小分けするのを手伝ってやる。
そうして1つずつ一緒に運んでいけばいいだろ?」


また光弘の頬に水滴が落ちてきた。




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