双子月
2…痕・夏・愛
金曜の朝。
朋香は冬休みだというのに、6時には目を覚まして目玉焼きを焼いていた。
クロワッサンとココアと一緒に朝食を済ませ、洗濯機を回し始めた。
ふと洗面所の鏡に映る自分の姿を見た。
上に着ていたトレーナーの襟元をぐぃっと下げて、左胸を鏡に映した。
まだクッキリと残っている光弘の痕。
心臓を喰いちぎって持って行こうとした痕。
それは残酷な程の痛みと傷痕だったが、朋香には、自分は光弘のモノだという、焦げ付いた焼印のように甘い誓いの傷痕に想えた。
朋香は1日でも1分でも1秒でも早く、光弘と仲直りをしたい気持ちでいっぱいだった。
何度考えたって、光弘以外に今の自分に必要な人はいない。
通が全てだった頃もあった。
通は、自分がこんな病気を抱えているとは知らないだろう。
もう連絡が取れなくなって、1年と半年以上経つ。
通が大事な気持ちは変わらない。
通が大事に想ってくれている気持ちも変わらないだろう。
ただ、朋香は知ってしまった。
あの頃は”親”という存在に支えられての、2人きりの世界だった。
自分達2人でさえいれば何も怖くないと想っていたのも、実は、バックに”親”がいたからだ。
でも今は違う。
確かにまだ成人もしていないし、経済的な面の一部は”親”の手を借りている。
しかし、自分達の足で道を選んで立って、自分達の意思で数多の人の中から選んだ相手の手を取り、自分達の気持ちを育みながら一緒にいる。
そんな相手と巡り逢えた。
朋香は冬休みだというのに、6時には目を覚まして目玉焼きを焼いていた。
クロワッサンとココアと一緒に朝食を済ませ、洗濯機を回し始めた。
ふと洗面所の鏡に映る自分の姿を見た。
上に着ていたトレーナーの襟元をぐぃっと下げて、左胸を鏡に映した。
まだクッキリと残っている光弘の痕。
心臓を喰いちぎって持って行こうとした痕。
それは残酷な程の痛みと傷痕だったが、朋香には、自分は光弘のモノだという、焦げ付いた焼印のように甘い誓いの傷痕に想えた。
朋香は1日でも1分でも1秒でも早く、光弘と仲直りをしたい気持ちでいっぱいだった。
何度考えたって、光弘以外に今の自分に必要な人はいない。
通が全てだった頃もあった。
通は、自分がこんな病気を抱えているとは知らないだろう。
もう連絡が取れなくなって、1年と半年以上経つ。
通が大事な気持ちは変わらない。
通が大事に想ってくれている気持ちも変わらないだろう。
ただ、朋香は知ってしまった。
あの頃は”親”という存在に支えられての、2人きりの世界だった。
自分達2人でさえいれば何も怖くないと想っていたのも、実は、バックに”親”がいたからだ。
でも今は違う。
確かにまだ成人もしていないし、経済的な面の一部は”親”の手を借りている。
しかし、自分達の足で道を選んで立って、自分達の意思で数多の人の中から選んだ相手の手を取り、自分達の気持ちを育みながら一緒にいる。
そんな相手と巡り逢えた。