双子月

3…光・赤・通・紅

金曜の夕方。


街は1週間後に迫ったクリスマスに向けて、イルミネーションの光の洪水だった。


赤・緑・青・白・黄…。

様々な色がランダムに点灯している。


それでもクリスマスカラーは”赤”というイメージの定着からか、街は何となく光り輝く赤で統一してある気もする。

特に雑貨屋などは気合いが入っている。



朋香はプラプラと街を歩いていた。

光弘との待ち合わせまで後1時間ちょっと。

今年のクリスマスプレゼントは何にしようかと偵察中。



(去年は手編みのマフラーをあげたんだけど、編み目が飛んでたりして最悪の出来だったのよね…
それでも使ってくれて嬉しかったなぁ)

と朋香は想い出して、1人クスクス笑った。


手袋や時計などを見て回ったが、いまいちピンとこない。

(ん~、光弘の好きなモノ…)



案外、ゲームを好む。

気に入った新作が手に入れば夢中になってやり込む。


(でもどんなモノが好きか分かんないしなぁ…)


サークルはソフトテニス。

(あ、ソレ、イイかも!
スポーツ用品店に行ってみようかな)


そう思って、朋香は近くの店に入った。


(基本的な物はもちろん持っているだろうし
専門的なコトは私には分からないし
リストバンドとか、スポーツタオルとかがイイかなぁ)

何だか、身近で使ってもらえるモノにやはり目がいく。



一通り物色して、何点か目星を付けて店を出た。


(ケーキの材料は買ってあるし、メッセージカードも待ちきれなくて昼のうちに作っちゃったし…
後はプレゼントだけかなぁ…
あ、その前に仲直りしなきゃなんだけど)


そう考えながらも、朋香の心はもう仲直りした気分になっていた。

顔がニヤけてしまうのを必死にマフラーで隠して歩いた。


早く逢いたい。

(バイトなんか早退しちゃえばイイのに)

あと30分。


(ちょっと早いけど、お客としてお店に入って驚かせちゃおうかな)


と、朋香はまるで良い事を思い付いたかのように、光弘がバイトしているファミレスへ向かおうとした。


しかしその時、朋香は携帯を家に忘れてきていた事に気が付いた。

さすがに携帯は手放しておくのが怖い。


(30分あるんだし、急いで取りに帰ればちょうどイイ位か)


と思った朋香は、足早に家へ取りに戻る事にした。








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