双子月
「保護者の方々は、それぞれ入院手続きをお願いします。」

と看護師が言ったので、母親達が揃って窓口で、書類に必要事項を書き始めた。



父親達は、奥で待っていた警察官に対応していた。


「では明日にでも、容態が安定してからお話を聞かせてもらいます。」

と警察の人達は言った。



瑠璃子の父親が、

「あの、車に乗っていらっしゃった方は…」

と聞くと、

「残念ですが…」

と答えて帰って行った。


3人共、やるせない気持ちで立ち竦んでいたが、それでも自分の子供達が生き残ってくれた事が何よりだった。



その時、夜間・救急用の窓口の方から何か騒がしい声が聞こえてきた。

不思議に思って3人が近付いて行くと、1人の男性が警備員に一生懸命訴えていた。


「だから、私の実の娘なんです!
戸籍上はもう違いますが、間違いなく私の血を分けた娘なんです!」



その男性を見て、朋香の義父が思わず口を開いた。


「溝口さん…」


そう呼ばれた男性は、警備員からそちらの方に目を移した。


「有田さん…」


数年ぶりの再会だった。




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