双子月
「違うのよ、朋香ちゃんは目の前で貴方が事故に遭ったショックで一時的に倒れていて、瑠璃子ちゃんは自分のせいで…って興奮してたから鎮静剤で眠ってもらっていたの。
2人共、さっき目を覚ましたから大丈夫よ。」

と母親が優しく言った。



「光弘~、目ぇ覚めたんだ!
良かったぁ~!!」

真朝と大輔と美穂が、看護師に怒られながらも、廊下を走って光弘の病室に駆け込んできた。


「最初に瑠璃子と話して、今まで朋香と話してたの。
病室をあちこち移動しなきゃいけないから大変~。
でも本当に3人共、無事で良かったよ~!」

真朝が言った。


「2人共、話せるのか?」

「えぇ、もう食事も移動も自由よ。」

と美穂がニッコリ微笑んで、入り口の方を指差した。


朋香と瑠璃子がそこに立っていた。


「朋香、瑠璃子…!」


朋香も瑠璃子も言いたい事がたくさんあったはずなのに、光弘の顔を見たら何も言えなくなってしまった。


「さぁ、ちょっと今から3人にお話を聞かせてもらうから、皆さんは外に出て待っていてくれますか?」


と先程の白衣の男性が言った。

それと同時に警察官が2名、病室に入ってきた。



そして、スーツ姿の林先生もそこに立っていた。


「林先生、どうして?
今日はクリニック、先生が診察担当日じゃ…」

と朋香は尋ねた。


「警察の方との話し合いの中で、君達の病状を正しく伝える義務が、主治医である僕にはあるんだよ。
それに今日は瑠璃子ちゃんの診察日でもあったし。
今日は急患だけ、僕の父親に診てもらう事にしたから大丈夫だよ。」

と林先生は答えた。


「さて、始めても宜しいでしょうか?」


光弘・朋香・瑠璃子・光弘の主治医・林先生・警察官2名。

あとは人払いをして、光弘の病室で事故のいきさつを話す事となった。




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