双子月
朋香は空を仰いだ。



白い雲。

黒い喪服。



何で私はこんな真っ黒な服を着ているのかしら


あぁ、きっと通のイタズラね


洗い流せばまた白くなるわ






朋香は空を仰いだ。


黒い雲。

黒い喪服。

黒い雲。



やがて空いっぱいに広がり、雨が降ってきた。

朋香は会場の外で雨に濡れたまま、空を仰ぎ続けた。



「通、泣いてるの…?
私がいるから大丈夫よ…」



朋香はニッコリ微笑みながら両腕を天に伸ばすと、そのまま雨でグチャグチャに濁った土の上に倒れた。


遠くから、やっと朋香がいなくなった事に気付いた大人達が、騒いでいる声がする。



こっちだ、いたぞ



ふわりと抱きかかえられて、冷えた体が暖かくなっていくのを感じながら、朋香の意識は遠のいていった。



「通…私達、いつまでも一緒って約束したもんね…」



朋香が眠り込んでいる間に葬式は滞りなく進み、通は小さな骨壷の中に納まった。




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