双子月
第1章*2つの月

1…昼の半月 夜の半月

朋香は鉛筆を置いて待合室を見渡した。

(4番目…1時間以上かかりそうだな)

と溜め息を付きながらソファに座った。


ほつれかけているジャージをだらしなく着こなしている男性が、おそらく50歳位だろう、朋香をチラっと見た。

その男性の他に、おばあさんが2人座っている。

その3人と距離を置いて座った朋香は携帯を取り出し、慣れた手付きで素早くメールを作り上げた。


『1限目、代返よろしく』


送信完了画面が消えたと思ったら、すぐに受信画面になる。


『イチゴ大福が食べたいわ★』


…美穂め…

だけど単位には代えられない。


『コンビニの1個80円のヤツだよっ』


と返事を打った朋香は携帯をしまい、腕時計を見た。

もうすぐ9時。


(しまったなぁ、今日に限って二度寝しちゃったもんなぁ)


この季節、なかなか布団という魔物に敵わない。

自分の体温で程良く温まっている布団が、愛しくて愛しくてたまらない。








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