双子月
- 旅立ちの夜 -

運命の赤い糸じゃ心もとない
弱くて
脆くて
ちぎれそうで
だから僕らは手を繋ごう
離れた小指と小指で繋がるんじゃなくて
鎖のように手を繋ごう
紅いリボンで結んでしまって
決してほどけてしまわぬように



穏やかな君の声が
何故か悲鳴に聞こえてしまって
思わず僕は抱きしめた
小声で歌う君の耳元に
「鳴かないで」
と囁いた



ただただ 愛しいだけなのに
どうして苦しくなるんだろう
産まれてきた僕らに神様が与えた難題
独りじゃ迷宮入りパズル
君と答えを見つけなきゃ
いつまでも
迷い
もがき
苦しんで
切ない悲鳴に耳が痛む



繋いだこの手は離さないから
迷子にだけはしないから
信じて一緒に歩いてくれる?
ゴールなんて本当はなくて
いつもここがスタートで
紅いリボンを手繰り寄せ
裸の僕らは時折
温もりを確かめ合う為
立ち止まる
深い眠りに着くように…



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