双子月
白い雪がいつから降っていたのだろう。

地面に薄っすら積もっている。


光弘は病室の窓から、その雪を見ていた。

今日プレゼントをくれると、朋香が言っていた。


月の見える場所で…。

雲1つなく、満足そうな月。



「あれ…」



舞い落ちる白い雪が、白い羽に見えてきた。

たくさんたくさん降ってきた。

視界が真っ白になった。



…誰よりも『愛してる』…



”朋香”の優しい声が聞こえた。


「俺もだよ。
宇宙一の幸せ者になろう。
この月も雪も羽も、望むなら全部を掻き集めて、流れ星のリボンをかけてプレゼントするから…」


光弘は窓の外を見ながら、まだ6時過ぎだというのに、急な眠気に襲われて目を閉じた。


(朋香が待ってるから…
でも良いか…
これからはずっと一緒にいられるんだから…)



光弘は、朋香が真っ白な雪と羽の絨毯の上で眠っている夢を見た。



こんなに羽が…

やっぱり朋香は特別なんだ

俺の天使なんだ…



(あぁ、白雪姫ごっこか)



光弘はクスっと笑って、微笑みながら眠っている朋香にkissをした。


朋香と最後まで身体を重ねた事がなかった光弘は、口付けだけじゃ物足らず、その無垢な身体に初めて自分の身体を重ねた。



だけど、白雪姫のように、朋香が目を覚ましたかどうかは覚えていない…。

ただ、月がいつの間にか雲で隠れてしまった事だけは夢の中で確認出来た。






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