双子月
ガチャ
「じゃあどうぞ。
終わったらナースステーションに教えに来て下さいね。」
「いつもすみません、ありがとうございます。」
と、光弘と瑠璃子はお礼を言ってドアを開けた。
整形外科病棟の屋上。
5年前までは分煙対策として、この屋上は喫煙者達の為に開放されていた。
まぁ、他の病棟に比べて、整形外科という事で自由に動き回りにくい人達が多かったので、極一部の人達にしか利用されていなかった。
それでも貴重な喫煙スポットだったし、タバコを吸わない人達にとっても、晴れた日には心安らげる場所だった。
ちなみに精神科病棟の屋上は開院以来、立ち入り禁止である。
”朋香”のような事をする人がいるから…。
そして5年前の”朋香”のあの事件で、全ての病棟の屋上が閉鎖された。
ちょうど病院も禁煙対策に乗り出していたところだったので、完全に屋上は人の入れぬ領域となった。
ただ毎年、この日だけは、光弘と瑠璃子は整形外科病棟の屋上に特別に入れてもらう。
他の皆は忙しくて節目の年にしか来れないが、2人だけは毎年訪れているので、もう5回目。
”朋香”が生きて、動いて、喋っていた、最期の場所。
ここには年に1回しか入れないので、花束も何も置かない。
光弘は瑠璃子の導くまま、”朋香”がその身を投げたという場所に2人してしゃがみ込んで、手を合わせる。
「じゃあどうぞ。
終わったらナースステーションに教えに来て下さいね。」
「いつもすみません、ありがとうございます。」
と、光弘と瑠璃子はお礼を言ってドアを開けた。
整形外科病棟の屋上。
5年前までは分煙対策として、この屋上は喫煙者達の為に開放されていた。
まぁ、他の病棟に比べて、整形外科という事で自由に動き回りにくい人達が多かったので、極一部の人達にしか利用されていなかった。
それでも貴重な喫煙スポットだったし、タバコを吸わない人達にとっても、晴れた日には心安らげる場所だった。
ちなみに精神科病棟の屋上は開院以来、立ち入り禁止である。
”朋香”のような事をする人がいるから…。
そして5年前の”朋香”のあの事件で、全ての病棟の屋上が閉鎖された。
ちょうど病院も禁煙対策に乗り出していたところだったので、完全に屋上は人の入れぬ領域となった。
ただ毎年、この日だけは、光弘と瑠璃子は整形外科病棟の屋上に特別に入れてもらう。
他の皆は忙しくて節目の年にしか来れないが、2人だけは毎年訪れているので、もう5回目。
”朋香”が生きて、動いて、喋っていた、最期の場所。
ここには年に1回しか入れないので、花束も何も置かない。
光弘は瑠璃子の導くまま、”朋香”がその身を投げたという場所に2人してしゃがみ込んで、手を合わせる。