双子月
最初に愛した人の死から10年。
次に愛した人の死から5年。



暗がりの中、片手ずつ、小さな手を握り締めて家へと向かっていた。

冷やしてしまわないように、大切に握り締めて。



右手で握っている子が尋ねる。


「ねぇ、ぱぱ。
おつきさまはどうして、ずっと、ともこちゃんたちのあとをついてくるの?」


すると、左手で握っている子も尋ねてくる。


「るりかちゃんたちのおうちまで、あそびにきてくれる?」



ん~…とちょっと困ったように考える。



「お月様はね、朋子ちゃんと瑠璃香ちゃんの事がとっても好きなんだよ。
ずっとずっと『大好き』って。
ずっとずっと、形が変わっても、お外でも、どんな時でも見守っていてくれるんだよ。」


光弘はそう答えた。



「きょうは、おつきさま、はんぶんこじゃないね!」

「うん、まんまるだね!」



そうか、今日の月は皆が集まっているんだ

今頃、空の上で皆で笑っているかな



「朋子ちゃんと瑠璃香ちゃんのように2人で1つ…
半分個と半分個がくっついて、まん丸になってる”双子月”なんだよ。」



「ふたごつきー?」

「ふたごつきー?」



見上げる空から、羽のような白い雪が舞い降りてきた。



「さぁ、ママが待ってるからおうちに帰ろうね…」





そう、ずっとずっと…

…『愛してる』…




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