双子月
すると光弘は、朋香の左手首を柔らかく握り、傷痕に軽くkissをした。


「ちょっ、血が…」

と朋香は慌てたが。


「何でそんな事を考える必要があんの?
俺には朋香が必要だし、朋香も俺が必要だろ?」


真剣な目をして言う。


きっと光弘は私に言いたいコト、聞きたいコトがたくさんある。

何故斬るのかと。

本当は辞めて欲しいだろう。


だけど何も言わない。

何も聞かない。


それだけが優しさの全てではないだろう。

時には本音で話し合う事も必要なのだろう。


だけど、私達はタイミングを待っている。

心の底から笑える2人が存在する為に、乗り越えるべき試練が来る時を。

ソレまでは、このスタイルでイイのだろう。



朋香はそう想っている。



話したくなったら話そう。

光弘は当たり前のように、この気持ちを分かってくれている。


朋香が少し微笑むと、光弘はその倍の笑顔を返してくれた。



あぁ、なんて愛しい人なんだろう…



しかし、自分の幸せを想う時、朋香は雫の事を想い出さずにはいられなくなっていた。


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