双子月
「えっと肩幅は…」


美穂が瑠璃子の肩幅を測っている。

ここは美穂の家。


一同、手伝うからには最高のモノを創り上げようと、気合いを入れている。


朋香は台本を読みながら、スケッチブックに背景のイメージをサラサラと描いており、その隣で、真朝も赤ペン片手に台本と睨めっこをしている。


「皆様、ちょっとティータイムに致しませんか?」


美穂の家のお手伝いさんが、ノックをして声をかけてきた。


「そうしましょうよ。
池田さん、4人分お願いします。」


「はい、ではお持ち致しま…
あらあら、客間はずいぶんと賑やかですねぇ。」


池田さんが笑いながら部屋を見渡す。

確かに台本やら裁縫道具やらで、客間はいっぱいいっぱいである。


「美穂ちゃん、せっかく皆様が初めていらっしゃって下さってる事ですし。
美穂ちゃんのお部屋で休憩してはいかがですか?」


「そうね、それが良いわ。
じゃあ、私のお部屋までお願いしますね。
さぁ、皆、こっちよ。」



客間を出て、2階への階段を上がる。

吹き抜けの天井へ向けて、螺旋状に階段が伸びている。


2階にもたくさんのドアがあって、1人だと迷ってしまう程だ。

美穂の部屋は奥にあった。


「あ、ちょっと待っててね。」


と美穂が一言断って、先に部屋の中に入った。


「何、何~?
見られちゃまずいHな本でも隠すのかぃ?」


真朝がすかさずツッコミを入れる。


「真朝と一緒にしちゃ駄目だよ…」


と、朋香と瑠璃子が顔を見合わせて溜息を付く。


「お待たせ、どうぞ。」



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