双子月
3…1年前の冬(後)
披露宴を抜け出してロビーにいた時。
第一印象は朋香に似ていたけれど、朋香の短い栗毛とは違って、長い黒髪が美しい女性だった。
腰辺りまで伸びた髪は、痛んでいる様子など微塵も見せない。
そして、目が合った時の冷たい印象。
口元だけの笑み。
ホテルのレストランへ男性と腕を組みながら入って行ったその女性を、美穂は目で追ってしばらくぼう然としていた。
それから数週間後のある土曜の夜、美穂の部屋の電話が鳴った。
声から察するに若い女性のようだが、名乗りもしない。
(この人は誰?)
(何故、私を知っているの?)
(何故、私の部屋の番号を知っているの?)
美穂は混乱を抑えきれなかったが、1つだけ、彼女がとても取り乱している事が分かった。
普段は夜の外出は厳しく止められている。
しかし、美穂は池田さんに頼み込んで、こっそりさっき電話で教えてもらった彼女の家まで送ってもらい、帰りはタクシーで帰るから、と池田さんを先に帰した。
第一印象は朋香に似ていたけれど、朋香の短い栗毛とは違って、長い黒髪が美しい女性だった。
腰辺りまで伸びた髪は、痛んでいる様子など微塵も見せない。
そして、目が合った時の冷たい印象。
口元だけの笑み。
ホテルのレストランへ男性と腕を組みながら入って行ったその女性を、美穂は目で追ってしばらくぼう然としていた。
それから数週間後のある土曜の夜、美穂の部屋の電話が鳴った。
声から察するに若い女性のようだが、名乗りもしない。
(この人は誰?)
(何故、私を知っているの?)
(何故、私の部屋の番号を知っているの?)
美穂は混乱を抑えきれなかったが、1つだけ、彼女がとても取り乱している事が分かった。
普段は夜の外出は厳しく止められている。
しかし、美穂は池田さんに頼み込んで、こっそりさっき電話で教えてもらった彼女の家まで送ってもらい、帰りはタクシーで帰るから、と池田さんを先に帰した。