双子月
そして当日。

合コンのメンバーは特に悪くはなかった。


やはり社会人というだけあって、学生とは違う、どこか大人で紳士的な魅力がある。

エスコートも抜群で、食べ物・飲み物が途切れないように細心の注意を払い、尚且つ場を盛り上げてくれる。


しかし、瑠璃子はもちろん初めから彼氏を作る気はなく、人数合わせの為に参加したようなモノだから、3人のうちの1人が猛烈にアタックしてくるのをどうやり過ごそうか必死だった。


美穂も大して興味はなく、場の雰囲気を崩さない程度に楽しそうに参加していた。


最も、相手メンバーからすれば、見るからにお嬢様の美穂を高嶺の花に感じ取ってしまい、話しかけるのにも勇気が要るようだった。

もちろん、美穂にそんなつもりは微塵もないのだけれど。


そんな中、盛り上がっている2人。

当然といえば、当然。

真朝とその相手、剛だ。


日曜の昼間にセッティングされたこの合コンは、彼女達が未成年という事を考慮し、もちろんノンアルコール、ちょっと洒落たイタリアンのお店で会話を楽しむ程度のモノだった。


しかし、この2人には”洒落たイタリアン”という雰囲気を理解するのは、少し難易度が高かったらしい。


明るく元気なのは良い事だ


…と周りの客の目を少々気にしつつも、残りの4人は暖かく見守る事にした。


夕方近く、一応解散という事になった。


しかし真朝と剛はやはり気が合ったらしく、合コンが終わった後、2人でもっと語り合おうと言い残して、他の4人と別れた。


「2人共~、また明日、学校でねぇ~!」


ご機嫌MAXな真朝を見送った美穂と瑠璃子は、残りの2人に、


「今日は楽しかったです、おご馳走様でした。」


とお礼を告げ、帰路に着いた。


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