双子月
「252円になります。」


会計を済ませて袋を受け取ると、朋香はコンビニを出た。


(う~…2限も出られないとは不覚っ)


水曜2限の講義は毎回、授業内容のレポートを提出しなければならない。

コレはイチゴ大福1つじゃ済まされないと思い、自分の分と合わせて3つ買ったという訳だ。


(どうせ途中から出る気ないし、ゆっくり歩いて行こう)



朋香の大学は小高い丘の上にある。

大学までの緩やかな坂道は綺麗に整備されていて、地元では有名な遊歩道でもあるのだ。


紅葉も終わりがけ、赤や黄色の葉っぱが地面でカサカサと音を立てる。


澄んだ空気を吸い込んで空を見上げると、青空の中に半月が薄っすらと見えていた。


何故か朋香にはそれが優しく見えて、心なしか気分も少し和らいだ気がした。





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