双子月
思わぬ返事が返ってきたので、今度は朋香が驚いた顔をして、先生の顔を見上げた。


「え、イイんですか?」


「うん、朋香ちゃんの大学での様子も見たいし、いつも話に聞くお友達にも会ってみたいし。
雫ちゃんにも、たまには気分転換をさせなきゃだからね。」


と、いつもの優しい顔で林先生が言ったので、朋香のテンションはまた一気に上がった。


「やった~、私も先生に皆を見て欲しいんです!
とってもステキな友達に囲まれて、私、幸せだなって最近よく想うんだ。
それで、雫がイヤじゃなければ、雫にも、私の友達と友達になって欲しくて。」


意気揚々に朋香が話し出す。

林先生は暖かい目で朋香を見て微笑む。

そして引き出しから黒の封筒を取り出して、朋香に渡した。


「はい、雫ちゃんから。
でもね、あんまり期待しないでね、朋香ちゃん。
雫ちゃんは気分の揺れがとても激しいから、当日にならないと分からないよ?」


と付け足した。


「はい、ソレは私も分かるから大丈夫です。
雫に無理はさせたくないし。」


朋香はちゃんとその辺の事情もわきまえられる位には、冷静さを取り戻していた。


< 50 / 287 >

この作品をシェア

pagetop