双子月
でもここで笑ったら、また朋香は膨れっ面になるに違いない。

それはそれでやっぱり可愛いから何度でも見たいのだけれど、話を変える事にした。


「そうだ、今朝の診察はどうだった?」


「うん、大したコトなかったよ。
薬も変わらなかったし。
最近、夜の記憶が曖昧で、相変わらず熟睡感はないけど、調子はイイみたい!」


今度は光弘を安心させる為だけに、朋香はニッコリと笑った。


「そういえば、光弘の方はどうなの?
男子部員がスコート着て喫茶店やるんでしょ。
私、絶対、皆で見に行くー!!」


光弘は、学園祭の話題をこっちに振られて、しまったと思った。


「来なくていいよっ!
ったく、誰がそんなバカな企画考えたんだか…」


「えぇ、イイじゃん!
写真いっぱい撮ってあげるから♪」


さっきの仕返しとばかりに朋香は反撃をする。

光弘はしばし黙って考え、


「そっかぁ~。
朋香ちゃんは、そぉんなに俺のスコートの下のパンツが見たいんだ~?」


と、真面目な顔をしつつ、ちゃかした声で言う。


「ばっ、何言ってんのよ!」


手に持ってたバッグを振り回す朋香。


「耳まで赤くして、朋香ちゃんったら、やらし~♪」


ひょいっと避けながら、朋香をからかい続ける光弘。


光弘との微笑ましい時間は、いつもあっという間に過ぎていく。



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