双子月
朋香は真朝の隣に座り、バッグから弁当を取り出した。


「朋香、偉いよね~。
私なんか、炊事する気、全くnothing!」


真朝は朋香の弁当を覗きながら言った。


「この時期は腐らないからね。
前の晩に詰めておいて、朝チンするだけだよ。」


いただきます、と手を合わせながら朋香は答えた。


朋香も真朝も1人暮らしだ。

県外から来た真朝はともかく、朋香は実家から通えなくもないが、アパートを借りて1人暮らしをしている。


「美穂の弁当も、ある意味すごいよね…」


真朝はB定食の魚のフライを食べながら呟いた。


「まぁ、うちは、ね…」


美穂は苦笑いで返した。

美穂は両親が国際弁護士をしていて、ちょっとしたお嬢様なのだ。

よって、弁当はお手伝いさんの手作り。

これまた中身が豪勢。

一大学生が、弁当のおかずにフォアグラなんて世も末だね…と真朝が笑った。



「んも~、たかがカレーライスでどれだけ人を待たせるのよ、食堂のおばちゃん!」


ぷんぷん怒りながらカレーライスを手にやって来たのは瑠璃子。


「まぁまぁ、時給800円で汗だくに働いてるんだから大目に見てやんなよ~」


と真朝がちゃかす。


「う…それを言われると…許してしまう…」




これでいつもの4人が揃った。



お嬢様で親友の美穂。

サッパリした人柄の真朝。

天然系の瑠璃子。

そして朋香が加わって、大学1年の時からの仲良し4人組。


知り逢ってから、季節は2度目の冬を迎えようとしていた。



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