双子月
「まだ”明日”になっていないはずですけれど?」

「先程、貴女が仰った通り、その輝きが私を朝と勘違いさせたのです…
ようやく宴会も終わり、こうして駆け付けたというのに…
私の誠意は伝わりましたでしょうか?」


「ただいま、御礼の文を考え中でしたの」

「そのような寝巻き姿で縁側に出るなど、決して殿方には御顔すら見せないと断言した貴女にしては大胆な行動…
文を頂くより、直接、御言葉で伝えて頂いた方が早いかと」


「ふふ、そうですわね…
貴方の誠意は充分伝わりましたわ…
あのガラスの靴はかなりの価値がある物…
ワタクシが今までこの平安区で見てきた宝物に、充分引けを取らない」

「やはり貴女は御目が高い…
そして貴女を選んだ私の目も高い」


「ワタクシの相手をしようなんて、まだまだ早いですわ…
でも、そうね…昼間、そして夜、このワタクシの庭に侵入出来た事、そしてあのガラスの靴…
それらを評価して、貴方に興味を持つ事から始めますわ…
夜々、帝と警備の目を盗んでこの庭においでなさい…
お礼は少しずつ返していく、その方が楽しいのではなくて?」

「一区の皇子に夜の密会をやれと?
さすがは貴女だ…
面白い、やってみせましょうぞ」


「ワタクシを退屈させないで下さいましね」






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