双子月
「え、結婚…?」

「そうじゃ…
今まではそちのワガママにも目を瞑ってきたが、ある噂を聞いて、これ以上好き勝手させれぬと判断した」

「噂とは?」

「そちの胸に手を当てて聞いてみるが良い!
余の城にいながら、誰と逢引をしていたのか」

「…!」


「ほぅ、そちでも驚いた顔をするのじゃな」

「…いえ、何の証拠もなしにそのような下卑た噂を信じておられるのかと…
そしてワタクシは結婚は致しませぬと、あれ程申し上げたはずです」


「この際、噂の真偽など、どうでも良いのじゃ!
我が区に生まれ育った日本国一の美女と謳われるそちを余の手元において、もうどの位の時が経ったであろうか…
望む物は何でも手に入れられる立場の余が、よくもここまで我慢したものだ…
かぐや姫、そちは余の顔に泥を塗るつもりか」

「そのようなつもりは毛頭ございません…
しかしワタクシは、いくら帝様がお相手であっても、その力に屈するような事は致しませぬ」


「そちが何と言おうと、この区で余に逆らって生きていける者はおらんのじゃ!
それは竹取の老夫婦とて同じ事…
婚儀の日取りなどは改めてお知らせする
その間に身辺整理をするが良い…
逢引など無駄な事は、相手にとっても不利になる一方なのじゃよ
余は寛大な心でそちを許しているつもりだ…
そこのところを良く理解しておく事じゃ」



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