双子月
「…冗談じゃないわ…
誰があんな男と結婚なんてするものですか!」

「姫、私と一緒に逃げましょう!
これ以上ここにいても、無理矢理結婚させられるだけです!」


「ロミオ様、せっかく平安区と和平を結んだばかりだというのに、それを水の泡とするおつもりですか?
もう充分でしょう、イングランド区に帰りましょう!」

「ジュリエット、お前なら分かってくれるよな?
私が本当に欲しい物はイングランド区の王位継承権でも何でもない…
この目の前におられるかぐや姫だけなのだ」

「それは存じております…
しかし…
本気で逃げられるとお思いですか?」

「お前の手助けが何よりも必要なのだよ、ジュリエット…
やってくれるよな?」

「…ロミオ様は私が断れないのを知っていてそのような事を仰る…
分かりました、私の意地にかけてお2人をここよりお出し致しましょう」


「姫、それで宜しいですか?」

「えぇ、このまま帝と結婚させられるくらいならば、地の果てまでも逃げる方がマシですわ…
若紫、お前も手伝ってくれるかしら?
もちろん、貴女の身の安全も保証するわ」

「…姫様の幸せが私の幸せでございます…
ロミオ様、どうか姫様を御守り下さい!」


「もちろんだよ
さぁ、そうと決まればさっそく手はずを整えよう!
用意が整うまでは夜にお逢いするのは止めにした方が良いでしょう…
連絡はジュリエットと若紫に任せる」



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