双子月
「かぐや姫様、婚儀の日取りが決まりました…
三日後でございます
どうぞ、御仕度を御急ぎ下さいませ…
他の女官が必要でしたら、いくらでも御付き致しますが」

「結構です
若紫がワタクシの身の周りを一番熟知しております…
三日後となれば急ぎ準備をしなければなりません
…どうぞ、お下がり下さいませ」

「…くれぐれも変な気を起こされませぬよう…
では失礼致します」


「姫様に対して何て失礼な言い方なんでしょう!」

「良いのよ、それよりジュリエットと上手く連絡は取れているの?」

「はい、私のような下の者は怪しまれる事なく城内を動き回れますので!
けれど婚儀が三日後となれば…急ぎ行動に移さなければなりませんね」


「そうね…そういえば明日は満月だったわね…」

「ちょうど中秋の名月でしたね!
でも月の明かりが強すぎると、闇に紛れにくくなってしまうかも…」

「大丈夫、月はワタクシの味方なのよ…
若紫、荷物の整理は良いわ
あのガラスの靴だけで充分よ」

「え、御召し物などは…?」


「そんなもの、どうとでもなるわ…
それより婚儀が三日後になった事をジュリエットに伝えて、手はずを整えてきてちょうだい…
明日にも実行に移さないと、もう時間がないわ」




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