双子月
「姫様、こちらです
門番には薬入りの御酒を飲ませています…
暗いので足元に御気を付けて」


「若紫、お前は本当に頼りになるわね、心強いわ」

「そんなもったいない御言葉…
さぁ、急ぎましょう!
南端の竹林で、ロミオ様達と零時ちょうどに待ち合わせでございます」

「南端の竹林…
ふふ、またそこから始まるのね」

「え?」

「いいえ、何もなくてよ…
それより、ワタクシ達の方が先に着きそうね」


「ロミオ様達の方が自由に動ける身、案外先に着いているかもしれませんよ?
さぁ、此処です!
あら、やっぱり私達の方が早かったようですね…
姫様、今のうちに簡易食ではありますが御食事を…」

「緊張して喉を通らないわ…
お前が食べなさい」

「へへ、実は私も緊張しているのです…
でも、緊張というよりは、ワクワクの気持ちの方が勝っている感じです!
とりあえず、お水で御口を潤すだけでも」

「そうね、頂くわ」


「あぁ、やはり綺麗な満月でしたね!
でも何だか応援してくれているみたい…」

「言ったでしょう、月はワタクシの味方をすると」

「えぇ、本当に…」



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