双子月
「…遅いですね、ロミオ様達…
もうとっくに零時を過ぎているというのに…」

「一体どうしたというのかしら」

「ジュリエット様と念入りに打ち合わせをしたので、時間場所共に此処で合っているはずなのですが…」


「………………」


「姫様?
いかがされましたか?」

「えぇ、もう飽きたと思って」

「飽きた…?」


「若紫、お前の事は気に入っているのよ?
でも、ワタクシを強引に扱った帝、そしてその心意気に免じて心を開いてあげたのに、約束を守らないロミオ…
地球人ごっこも、もうここまでにするわ…
満月の今日を選んでくれて助かった…
これでワタクシは帰れるわ」



「姫様、何を仰っているのか私にはさっぱり…」


「貴女は何も知らなくていいのよ、若紫…
お前はワタクシの代わりにあの老夫婦の養女となって余生を過ごしなさい
…さぁ、この薬を飲んで…
全ての記憶を改ざん出来るから…」


「姫…さ…ま…」


「可愛い眠れる森の少女…幸せにおなりなさい…
さて、無線は壊れていないかしら?」



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