双子月
「やはり帝は勘付かれておられたか…
婚儀までの3日間、毎夜私を祝宴だと称して呼び出すつもりだ」

「それよりお急ぎ下さい、ロミオ様!
約束は0時なのに、もう1時を回っております!
気位の高いかぐや姫様のこと、御気が変わるかもしれませぬ」


「そうだな…この辺か…
…おや、あれは?」


「若紫殿!
どうなされました?
しっかりしてください!
かぐや姫様はどちらに?
まさか夜盗に襲われたなど…」

「ジュリエット!
辺りを隈なく探せ!」

「は!
…あ、ロミオ様!
あれを!」


「…これは姫の十二単…
それに私が差し上げたガラスの靴…
まるで全てを脱ぎ捨てたかのように、何故これらだけが落ちているのだ…?」

「やはりかぐや姫様の身に何か…」

「縁起でもない事を言うな!
邪推をしている暇があったら探すのだ!」



「…その必要はないですわ」


「その声は姫!?
上から…?」



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