双子月
その隣で、瑠璃子が顔を真っ青にしていた。


「やだ、瑠璃子、大丈夫?
不倫で離婚なんて今時珍しい話でもないし、私は気にしてないから…」


と、朋香がなだめるように言う。


「あ、ご、ごめん…
ちょっと驚いて…」


瑠璃子は呼吸を一生懸命整えた。

その時だった。

瑠璃子の携帯に1通のメールが届いたのは。



『銀タイツのお姫様、お団子屋さんでお待ちしておりますよ』



(う、嘘…雄一さんが来てるの…?)


落ち着きを取り戻そうとしていた瑠璃子は、再び目眩がする感じに襲われたが、それを皆に隠そうと懸命に平静を装った。


「じゃ、とりあえず、瑠璃子んとこのお団子屋さんから行く?」


と、真朝が皆に聞いた。

すると、やはりどこか動揺を隠しきれていない瑠璃子が、


「ごめん、今メールでちょっと店を手伝ってって言われちゃって…
でも私も皆と自分のお店で食べたいから…
先に他の所を回っててくれる…?」


と、慌てて、何だか辻褄の合わないような事を言った。

瑠璃子がこんなに落ち着かないのは珍しい。

だけど、皆、そんなに団子屋が繁盛してるのかと思い、混雑を避けるついでに瑠璃子とは後で落ち合う事にした。



「ん~、どうしようか…」


メンバー的にも微妙だし、何だかグダグダ感が漂ってきていた。


「そだね、光弘のとこに行こうか?
私達の劇が終わったらすぐに喫茶店に戻るって言ってたし。
光弘の自由時間までにはまだ時間があるから、私は林先生を案内するけど、美穂はどうする?
真朝と剛さんは2人で回りたいならそうしてイイよ?」


と朋香が機転を利かせて言った。


「やだ、私を1人にする気?
それとも真朝達のお邪魔虫にするの?
私は林先生さえ良ければ朋香達と回るわ。
林先生に、朋香の高校時代のお話とかも聞きたいしね。」


朋香にとってはそっちの方がありがたい。

美穂と光弘には是非、林先生と1度話して欲しかったからだ。


「じゃ、私達は光弘の喫茶店まで一緒に行動するね。
その後は剛と2人で抜けさせてもらうわ。
瑠璃子のとこには、後で顔を出せばいいし。」


と真朝は言った。


「よし、じゃあ話がまとまったところで、まずは光弘のスコート姿を拝みに行こうよ!
私、デジカメ持ってきたんだぁ、ふふふ…」


真朝はウキウキ気分だ。

あ~あ、光弘に後で仕返しされても知らないぞ…と皆、心の中で呟いた。


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