双子月
「あれぇ、瑠璃子いないねぇ?」

真朝がお団子屋さんを覗きながら言った。


「裏方じゃないの?」

と言う剛に、

「瑠璃子みたいな和服美人はウエイトレスに決まってるじゃん!」

と答えた。


「ん~、お客さんは多くて忙しそうなのになぁ。
もう交代したのかまだ交代してないのか…
どっちにしてもすれ違っちゃいそうだね。
剛、どっか他に見たいとこある?」


「んとね~、真朝たちが普段使ってる講義室!」


「そっちは何も展示してないよ?」


「”だから”じゃん、それに普段どんなとこで勉強してるのか見てみたいし?」


と剛はにんまり笑った。


「あぁ、なるほどね。
第4校舎だから誰も寄り付かないだろうし…
良いよ、案内したげる。」



真朝は剛と腕を組んで歩き出した。

どんどん人気が無くなっていく。

第1校舎は飲食系、第2校舎は展示系、第3校舎までは控え室や道具置き場などとして使われているが、第4校舎から第6校舎までは使われていない。


剛は腕を組み、真朝のおでこに軽くkissをしたりして、じゃれ合いながら真朝の案内に従っていた。


「ほら、ここだよ。
…あれ、ちょっと待って…?」





< 98 / 287 >

この作品をシェア

pagetop