PARADOX=パラドックス=
響き渡る銃声。
ん?まてよ、何で打たれたはずのオレがその銃声を聞いている?
そのすぐ後に何かが崩れ落ちた音。
「あ、兄貴っ!!」
どさりと倒れこんだのは、さっきまでオレに拳銃を突き付けていたひょろ長い男だった。
頭から血を流し……
「死んでる」
オレはゆっくりと振り返る。
そこには純白の正装に、二枚翼の聖十字のマーク。
「私は『悠久の騎士団』アレックス・シュナイダーだ。
闇のブローカー、ヘンリー・トールとニコフ・サマンサだな?」
小柄な男、おそらくはニコフ(顔のイメージがニコフだから)がガタガタと震える。
アレックスはゆっくりと女の子を見た。
そして息を吐きながら目を瞑った。
「……その少女も保護してやらねばならんな」
ゆっくりと目を開け、握りしめていた純白の銃をニコフに向ける。
「祈る時間をやろう。
貴様等の様な者でも、神は信じた者を安らかなる御胸に受け入れてくださる」
ニコフはガタガタと震えながら、アレックスをギッと睨み付ける。
「何が神でがすか!兄貴を兄貴をよくも!!」
ニコフが懐に手を入れ、拳銃を取り出した直後。
再び乾いた銃声が鳴り響き。
銃声と共にニコフは胸から血を流して息絶えたのだった。