PARADOX=パラドックス=
「もー。また"お前"って言ったわね。
私にはミュール・ザックハードって言う立派な名前があるんだからね!
ミュールちゃまと呼びなさいよ、可愛らしい私を!」
キラーは鼻で息を吐いて歩きだした。
ミュールはそれに続いていく。
「ねぇ、キラちゃん?」
「…………」
ミュールは小走りでキラーについていく。
「次は何処に行くの?」
背の高いキラーの顔をミュールは頭をぐっとそらして覗き込む。
キラーは横目にそれを見て、ぼそりと呟く。
「……森の都『リンクタウン』」
二人の影が少しずつ小さくなっていく。
決して距離は近づかず、しかし離れることはない距離を保って。