PARADOX=パラドックス=
「あたしの信用のおける情報屋によると、あんたの妹はやはり悠久の騎士団によって連れていかれたようだ」
オレはルーザの言葉に身体が動かなくなっていた。
この震えはなんだ?怒りか?
違う……これは。
「これはあくまで噂の一つに過ぎやしないが、悠久の騎士団は何でも人工的にブレイグルを生み出す研究をしているらしい」
火のついたタバコがどんどん灰になっていく。
「……それってまさか人体実験ってことか?」
ルーザはようやくオレから離れて、普段のトーンで言う。
「さぁね、真偽のほどは定かじゃない。
だがしかし、火の無い所に煙はたたないと言うしね。
ほれ、これは餞別だよ」
そう言ってルーザはタバコのカートンを5つと手書きの3つの地図をオレに渡した。
「それは、あたしの知り合いのいる場所を記した地図だ。困ったことがあったら訪ねると言い。
まずはそうさね、特殊な繊維でブレイグルを保護する為のローブを作ってる頑固者がいてね、そいつに会いにいくのが良い」
「ブレイグルを……ネオンを保護する為のローブ?」
オレはすやすやと寝息を立てているネオンを見た。
ルーザは髪を撫でていた手を離し立ち上がる。
「変り者だが腕は確かだ。あんた達の旅路に必ず役に立つだろう」