PARADOX=パラドックス=


森の都リンクタウン。

全ての植物が生まれた場所。

「やっぱり見たことの無い植物がいっぱいだな」

形状や色、匂い、花弁の数、葉の様子や茎の太さまで、ありとあらゆる種類の植物があたりに生い茂っている。

「なんかもうここまでくると気味悪いな」

一つの種が群生するわけでなく、数えきれない程の種類の植物が隣り合って生えている。

普通なら養分が行き届かなくなって枯れてしまいそうなものだが、それらは皆、いきいきとしている。

「森の都と言えど、その本質は土地にありそうな感じだな……」

「……ド」

オレはすぐ目の前にあった葉に爪をたててみた。

「……ド……ば」

傷口から白い液体が滲み出る。

オレはそれを人差し指ですくいとると、親指とこすりあわせた。

ネバーっと親指と人差し指に糸を引く粘液。

「やっぱり、これはゴムの木だ。噂には聞いたが本当にあったんだなぁ……」

「もぉー、シドってば!」

「へっ?……なんだよネオン、珍しく大声だしちゃって、トイレか?」

ネオンはじっとオレを見ている。

オレは気付かなかったが、きっと何度もオレのことを呼んでいたんだろう。

心なしか息が乱れている。



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