PARADOX=パラドックス=


一方その頃。

オレ達を見送ったルーザの元を訪ねる人物がいた。

白いマントには二枚翼の正十字が描かれている。

しかしジャックや今までの騎士団とは少し違う。

正十字の中心にローマ数字のⅧ(8)が描かれていた。

カランコロン。

両開きの扉が開かれる。

ルーザは葉巻をくわえながら、ゆっくりとその訪問者を見る。

表情は無い。

「久しぶりだね……いずれは騎士団の誰かが来ると思ってはいたが、

まさかアンタとはね、あいつも酷いことをする」

ルーザは口からプカーっと白い煙を吐き出した。

「残念ながら上の命で私は来たわけではない。

私は私の意志であなたに会いに来た」

ルーザは最初から気付いていた。

扉の外に複数の気配があること。

それがブレイグルであり、訪問者の武器であることも、そして。

「「会いに来た」だなんて生温い言い方はおよしよ。

あんたは……騎士団は"黒涙"を逃したことであたしを捕らえに来たんだろ?」

ルーザのその言葉を待っていたと言わんばかりに、扉の影から2人の少年が現れた。

「流石はルーザ様。全てお見通しでしたか。

ですが、この私、悠久の騎士団第8分団長・"輝燕=キエン="のスワロの名に掛けてあなたを捕縛します」






ルーザは笑った。


悲しみにくれた表情で。









< 47 / 87 >

この作品をシェア

pagetop