PARADOX=パラドックス=
オレは今更ながらあることに気が付いた。
後ろを振り返りネオンを見る。
ネオンは「ん?」と首をかしげる。
「さっき何かの看板がどうとか言ってたな?」
もしその看板がリンクタウンへの案内板だったとしよう。
リンクタウンと言えば各地から観光客が訪れる名所らしい(ルーザ情報)。
ならば何故、こんな獣道が続いている?
「うん、読めないけど、文字みたいなのが書かれたのがあったよ」
ならば何故、観光客らしき人が誰一人としていない?
「まさかその看板に大きな動物とかの絵が書かれていたりは、しなかっただろうな?」
ネオンは小さなあごに人差し指をつけて、空を見た。
そして、何かを思い出したかの様に言う。
「うん、描いてあったよ。大きな熊みたいな絵」
オレは額に手を当てうなだれる。
オレの勘が当たっていれば……
いや、恐らく勘がどうのこうのではなく、当たっているのだが。
ここは多分……
その時、背後からガサガサッと草木が揺れる音と共に獰猛な唸り声が聞こえた。
「……だよな、そういうことだよな。
つまり、今オレの後ろにいるのは」
ゆっくりと背後に振り返るオレ。
視界に何も写りません様にと願ったが、そんな願いは軽くあしらわれてしまったようだ。
「ガゥゥゥゥゥゥ!ガゥゥアァァッ!!」
目の前に迫る人の三倍はあろう巨大な熊。
ネオンは今にもオレ達を喰おうとしていきり立つそれを見ながら呟いた。
「わぁ、おっきな熊さんだぁ」
まんま、じゃねぇか。