PARADOX=パラドックス=

真っ直ぐな瞳。

あの時とは違う年相応……いや、それより幼い瞳だ。

オレはネオンが理解できないことは知りながら、医学的に解説をした。

案の定ネオンは首をかしげて聞いている。

「ま、分かんねぇよな」

優しくネオンの頭に手をやる。

この小さな瞳が、オレに語り掛ける。

「そら、行くぞ」

砂が音を立てて無機質に跳ねる。

沈黙に栄える秒針の音の様にザワザワと胸を掻く、その感触がオレは好きじゃない。







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