PARADOX=パラドックス=


右手に城壁を見ながら歩いている。

ルーザの地図にあるのはこの周辺なはず。

崩れた六角形は……

「何処にもねぇじゃねぇか。

あのババァまさか勘違いしてんじゃねぇだろうな」

「シド、シド。

私にも見せて」

見たって分かりゃしねぇだろうに。

「ほれ」

一応ネオンにも地図を確認してもらう。

「んー」と何度も唸る。

そして何かを見つけた様に目を見開いた。

「シド、あれじゃない?」

ネオンが指差した先。

そこには棺があった。

「くく、違うよネオン。

あれは死んだ人が入る棺を作ってる所だ、外套なんざ売ってないよ」

オレはそう言いながら、ネオンからルーザの地図を取る。

「えー、でも。

あのヒツギ?にも地図のやつにも中心に丸が描いてあるよ」

「丸――?」

オレはもう一度ルーザの地図を確認する。

六角形が崩れた様な形の中心に、いや、僅かに中心よりも上に確かに丸が描いてある。

なら、棺には――

「そうか、丸は棺に打ち込む杭か――」

棺屋の前に立て掛けられた、見本用の棺には真ん中より少し上。

部位で言うならばちょうど心臓当たりの所に杭が打ち込んであった。

「どうやら確認する必要がありそうだな。

よくやったぞネオン」




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