PARADOX=パラドックス=
リンは三つ編みの赤毛を揺らす。
「相当強力な力を持ったブレイグルのようね。
欲しいのは『封衣』ね?」
「……ふうい?」
リンはオレをじっと見つめる。
「そう、何も知らされていないのね。
まぁ、良いわ。材料は揃っているしすぐにでも作ってあげる」
「さっきからいったい何を言って……
まさか!
あんたがルーザの言っていた特殊な外套を作る職人なのか?」
「そーよ。
改めて言う必要もないと思ったんだけどね」
リンは再びバカデカイ荷物を背負う。
「じゃあ、これから作業に取り掛かるけど、作業中は絶対に中を覗かないでね」
そんな昔話にあったような台詞を置いて、リンは奥の部屋へと消えていった。
「……ねぇ、シド。
あの人の髪きれいだね」
「ん?ああ。
オレはそれよりも長さの方が気になったがな」
三つ編みにしているのに、それでも尚太股のあたりまで伸びた髪。
それを見ていたアジェットが悲しそうに俯いていた。