PARADOX=パラドックス=
店から出てきたキラー。
「キラちゃん?」
ミュールがキラーに駆け寄る。
「行くぞ」
一言だけを発してキラーは歩きだす。
ミュールは小走りをして、キラーの後を追うのだった。
「ねぇ、キラちゃん。
何かあった?凄く
凄く悲しそうだよ?」
見上げたキラーの顔。
今までに見たことがないような悲しげな表情をしていた。
キラーはふと立ち止まり、後ろを見た。
「願わくはまた……」
「……また?」
キラーは目を瞑り、ゆっくりと開く。
もうそこに人間らしい瞳は無かった。
何よりも冷たく、恐ろしいほどに鋭い瞳。
「行くぞ、私にはやらなければならないことがある」
「……うん」
2人はゆっくりと歩いていく。
朝日に照らされ、動き出した人の波に消えていった。