PARADOX=パラドックス=

翌日。

オレ達はリンクタウンを後にした。

世界樹が朝日に照らされ輝き。漆黒の城が栄える。

「すまないが君たち」

リンクタウンと始まりの森との間でふと声をかけられた。

振り向くとそこには二人の人物が。

「えっと……なんだい?」

そこにいたのは背が高く、クリスタルの様に白く澄んだ肌の高貴な女性と

黒いスーツに身を包む端正な顔立ちの男だった。

「グリーズ城を目指していたのだが道に迷ってしまった様でな。

今日は自身の足で訪れたかったのだが困っているのだ」

女は貴族だろう。

オレたちじゃ普段から使わないような綺麗な言葉。

話し方も落ち着いていて社交的だ。

そんな風に思うオレの後ろで、ネオンが怯えていることにオレは気づいていなかった。

「この道を抜けた先にあるフリメントの木を左手に進めばリンクタウンの入り口だ。

リンクタウンに入ればグリーズ城は嫌でも見えてくる」

オレがそう言うと女は微笑み頭を小さく下げた。

「そうか。ありがとう」

女が歩き始めると男も歩き始めた。

数歩進んだところで男が振り返る。

「つかぬことを聞くが、君は¨黒涙¨という言葉を耳にしたことはあるかな?」

全身を刺す様な鋭い瞳。

その時初めて、オレのコートの裾を掴むネオンの手が震えていたことに気づくのだった。

返答次第では問答無用。

騎士団か?スティグマか?それとも……

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